臨床研修制度が変わる (期間が2年から1年に。)

仕事(おもに医療)

朝の新聞やネット、いろんなところでこのニュースが大きな扱いを受けている。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090219AT1G1803T18022009.html
(NIKKEI NET)
私は日経と朝日を購読しているが、かなり大きな紙面が割かれていた。

この変化って、2年間の臨床研修を受けてきた私にとっては違和感が大きい。
理由は2つあり、それは臨床研修制度が始まる前の目的と、今回制度を変える目的の両方に関係する。

1.身体を全般的に診療できる医師の養成(制度が始まる前の目的)は、かなえらるのか?

制度を始める目的は、「最初の2年間は多くの科を診療し、色んな視点・経験から患者を診療できる医師を養成する」ということだった。
私は2年間の研修は真面目にやってきたと自分では思っているが、それでも2年間というのは多くの科を回るのにぎりぎりの期間か少し短いぐらいと感じている。
少なくとも医師になってすぐはどの科に行っても、まず「医師」という存在になっていることに慣れなければいけないしそれには3か月~半年くらいの期間が必要ではないかと思う。
1年間の臨床研修期間では、医師という仕事に慣れ始めてからの期間が圧倒的に短く、「全般的な診療」という経験を得られる時間が少なくなる。

2.地方の医師不足を本当に解決(制度を変化させる目的)できるのか?

もしこの変化により、臨床研修後の医師の数が増えたとしても純増効果は1年間だけだ。(制度改変後の1年後のみ)
そして彼らが地方に行く保証は全くない。(臨床研修病院の医師受入数の規制があったとしても、研修後に残る施策ではない)
地方の医師不足を解決したいのであれば、プッシュではなく、プルの施策を考える必要があると思う。

結局制度の変化後は、「全般的な経験を積むことが出来ない医師が都会にたくさんいる」ということになっていないか。
いままで散々言われてきたことだが、目的と施策のつながりをきちんと考えて、効果が本当にあるのかどうかKPIsを追っていかないと、場当たり的な対応は延々と続くんだろうな、という感想でした。

数字数字というと嫌がる人がいますが、「測定できないものは管理できない」というのは真実です。


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